「ちっちゃな王子さま」(新訳:星の王子さま)メルマガ配信プロジェクト

「星の王子さま」の邦題で知られる、Antoine de Saint-Exuperyの名作、"Le Petit Prince"を、独自に翻訳した「ちっちゃな王子さま」を、毎週少しずつお送りする、メールマガジンプロジェクト。是非登録を!

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 ねぇ、ちっちゃな王子さま。ぼくはね、こうしてちょっとずつ君の、ささやかで、感傷的な人生のことを、知っていったんだよ。君は、長い間ずっと、しずんでいく夕日の優しいすがたに、さびしい気分をまぎらわしてきたんだね。ぼくが、そのことについてくわしく知ったのは、四日目の朝に、君がこう言ったときだったね。
「ボクね、しずんでいく夕日を見るのが、とっても好きなんだ。ねぇ、夕日を見に行こうよ」
「……それなら、待たなくっちゃ」
「待つ、って何を?」
「夕日を、だよ。日がしずむのを待つのさ」
 君は、はじめ、きょとんとした顔になって、それから、ひとりでに笑い出したんだ。そしてこう言ったね。
「自分ちにいるみたいに、考えちゃったよ!」
 そうなんだ。みんなも知っての通り、アメリカで空のてっぺんにお日様があるとき、フランスではしずんでる。一分でフランスに飛んでいければ、すぐに夕日を見ることができるってわけ。でも残念ながら、フランスは遠すぎる。
 けれど、君のちっちゃな星の上では、いすをほんのちょっとを引くだけでいい。たったそれだけで、君が望むかぎり何度でも、夕日を見ることができるんだよね。
「ある日なんかね、43回も夕日を見ちゃったんだよ!」
 少しあとで君は、こうつけ加えたんだったね。
「ねぇ……すごくすごくかなしい気分のときって、夕日が恋しくなるものだよね……」
「じゃあ、その日は、43回分もかなしかったのかい?」
 王子さまは、答えなかったんだ。

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